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カマキリの勘違い

1999.10         神奈川県相模原市          内田 綾


基本的に虫は苦手です。しかし、去年の10月頃、突然カマキリに興味を持ち始めました。

なんでカマキリかと言うと、某TV番組で「カマキリのメスは交尾の後相手のオスを喰う」というような話を聞いたから。常日頃漫画のネタ探しに躍起になっている私は「ネタになるッ!!」と思い、頭の中で「子孫を残す為には自分の伴侶を殺さねばならない運命を背負ってしまったカマキリのメス。その運命を呪い卵を産むことを拒むメスカマキリもいるかも。うーんロマンだ」と話をむくむくとふくらませていたのです。同じ頃タイミングよく自宅のベランダにカマキリが現れてスケッチをしたりして。( 上下の2枚の絵がそれです。)

んが。しかし。
本でよく調べてみるとカマキリのメスがオスを喰うのは交尾の後では無く最中で、しかも動いたオスをエサと間違えて喰うとのこと。
基本的にカマキリは動いている小昆虫をエサにする肉食昆虫。そのうえ殆どの生物と同じようにお産の前のメスは食欲旺盛。目に映る動くもの全てが彼女の糧であり、子孫を残す為のパートナーのオスでさえ目の前で動けばそれは「大きくてうまそなエサ!!」なのだ。
子孫を残す為に自分の伴侶を”喰わなくてはいけない”という悲壮感溢れる宿命では無く、産卵を控えて 食欲魔虫と化したメスの勘違いから起こる事故に過ぎなかったのだ。ロマンのかけらもない...。




そして更に調べを続けていくと、その”事故”も頻繁に起こることでは無く、確率的には低いのだとか。
むしろ普段のカマキリは共食いを防ぐ為、鉢合わせた時にはお互い動きを止めるという話。つまり喰われたオスはかなり不運なカマキリといえる。多くの生物同様、カマキリのオスにとっては子孫を残すのも命がけというわけです。

そんなわけで、勘違い+無知から暴走した私のカマキリ漫画案はポシャってしまいましたが、カマキリのことを調べているうちに他の虫のこともいろいろ知ることが出来ました。虫のカラー写真なんかを(特に夜中に) 見るのはあまり気分のいいものでは無いけど、どんな生物にもいろんな事情があって面白いなあと思いました。

参考文献
『世界大百科事典』 平凡社
『虫の博物誌』 小西正泰 朝日選書
『プロポーズはやめられない 虫たちの恋愛事情』 澤口たまみ 講談社
『学研の図鑑 昆虫のくらし』 学研



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